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小川洋子さんの新刊本


■ 最果てアーケード    講談社    (2012年6月)
■ みんなの図書室    PHP研究所 (2011年12月)
■ 小川洋子の「言葉の標本」   文芸春秋  (20011年9月)
■ 人質の朗読会    中央公論新社 (2011年2月)
■ 妄想気分    集英社 (2011年1月)
■ 小川洋子対話集 文庫版 幻冬舎(2010年8月)

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著者  : 小川洋子
      
出版社: 中央公論新社
サイズ  : 単行本
ページ数  : 330p
発行年  : 2006年
価格     : 1680円


   『 文 庫 版 』

著者   : 小川洋子
出版社: 中央公論新社
サイズ: 文庫
ページ数: 348p
発行年: 2009年
価格  : 720円
 【わたしの感想文】

私達は小学生~中学生にかけて、思い出に残る出来事の一つや二つが必ずあるものです。この小説に登場する中学1年の朋子と小学6年のミーナ(本名は美奈子)が過ごした1年間の至福の時間は、読者に心地よい余韻を残してくれます。

タイトル「ミーナの行進」とは、身体が弱いミーナが、小学校へ行くのに、小さいカバ、コビトカバ(ポチ子)に乗って通学することから来ています。カバに乗って通学とはいかにも小川流の奇抜なアイデア。舞台は芦屋、小さい動物園もあった洋館の大邸宅で繰り広げられる出来事は、いかにも少女らしいウソをついたりとかで微笑ましく、大変心地良いです。
 
ミーナはマッチ箱を集めるのが趣味、それもマッチを擦るのでなく、マッチ箱の表紙の絵から、想像をたくましくして、物語を作る天才である。小川洋子さんの少女時代もそうだったのかと思わせます。その他、ミュンヘンオリンピックの男子バレーボール、猫田、大古、森田、南などが登場、それより面白いのが二人で考え出した空想バレーボール。決して大事件は起きないが、小さな出来事の一つ一つに無類の面白さがあります。

至福の時間の後は必ず、別れや死が訪れます。そこのところもしっかり抑えてあり、ローザおばあさん、お手伝いの米田さん、あんなに可愛がっていたカバ(ポチ子)の死が訪れる。大人になった朋子はやがて図書館の仕事、ミーナは中学卒業を待たずにスイスの学校へ、フランクフルト大学を経て、ケルンの出版エーゼントを経営している。最後の章は大人になった二人の往復書簡で終わっていて、読後はすがすがしい気持ちにさせてくれます。

この「ミーナの行進」は「博士の愛した数式」、「偶然の祝福」と同系統の作品で、残酷さや不気味さがなく、心地よく素直に読めます。ですから、深読みやかんぐりも必要なく、ただただ、素直に小川洋子の美しい世界に浸っていればよいのです。「博士の愛した数式」が好きな人にはこの「ミーナの行進」もきっと満足すること請け合いです。
 【内容情報】(「BOOK」データベースより


美しくて、か弱くて、本を愛したミーナ あなたとの思い出は、損なわれることがない―懐かしい時代に育まれたふたりの少女と、家族の物語。

 

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プロフィール
HN:
つぶやき博士
性別:
男性
自己紹介:
何気なく本屋で手に取った本が「博士の愛した式」。以来小川作品の虜になる。小川ファンの9割は女性と思いますが、私はオトコ、しかも70才近くのおじいさんです。
みんなに嫌われる数学はわりと好きな理工系ですが、小説であれ、数学であれ、美しいモノには惹かれる今日この頃です。
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