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小川洋子さんの新刊本


■ 最果てアーケード    講談社    (2012年6月)
■ みんなの図書室    PHP研究所 (2011年12月)
■ 小川洋子の「言葉の標本」   文芸春秋  (20011年9月)
■ 人質の朗読会    中央公論新社 (2011年2月)
■ 妄想気分    集英社 (2011年1月)
■ 小川洋子対話集 文庫版 幻冬舎(2010年8月)

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    薬指の標本

  
 
著者  : 小川洋子
出版社  : 新潮社
サイズ  : 文庫
ページ数  : 185p
発行年  : 2004年
価格     : 380円

   
 【わたしの感想文】

 これぞ小川洋子の作品というべき小説。小川洋子の小説スタイルで述べた「美しさ」「毒」「透明感」「境目のない世界」「突出しない場面展開」がふんだんに盛り込まれている。その意味ではこの作品が小川洋子さんの代表作品と勝手ながら、思います。
この小川洋子流にぞっこんハマッてしまう読者もいれば、反対全く理解に苦しむ小説として二度と読まない読者とにはっきり分かれてしまうのが面白い。

指を負傷した若い女性と弟子丸という不思議な名前の標本技術者が一応主人公であるが、靴磨きのおじさん、数々の標本を依頼してくるお客が登場してきて、いつもの小川作品のように主人公が際立って目立つわけではない。
主人公の一人語りで物語が進んでいくが、標本技術者の方は実に謎に包まれていて存在感より、幻想的で透明感があふれている。浴場でのラブシーンの場面でも盛り上がることなく、実にあっさり、どこか冷めた客観的な目で描かれている。しかし、なぜか官能的である。

印象的だったのは弟子丸からプレゼントされた靴。主人公の足にぴったりで、ある日、靴磨きのおじさんに靴磨きをやってもらった時「この靴はあまりにもあなたの足にぴったりし過ぎている。このまま履き続けると足に食い込んでしまうので、精々1週間に一度くらい履くように」と言われてしまう場面である。小川流の身体とモノがつながる境目のない描写である。これに限らず、幻想と現実の区別がつかない位境界線がない。

この小説は映画化されました。監督、俳優はフランス人。小川洋子の作品が受け入れやすいのはアメリカでも、イタリアでもなく、北欧かフランスと思われる。その中でも、一番ぴったりするのは、この種の文化の香りがするフランスということになるのでしょう。
 【内容情報】(「BOOK」データベースより)

楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡…。人々が思い出の品々を持ち込む「標本室」で働いているわたしは、ある日標本技術士に素敵な靴をプレゼントされた。「毎日その靴をはいてほしい。とにかくずっとだ。いいね」靴はあまりにも足にぴったりで、そしてわたしは…。奇妙な、そしてあまりにもひそやかなふたりの愛。恋愛の痛みと恍惚を透明感漂う文章で描いた珠玉の二篇。

【目次】(「BOOK」データベースより)

薬指の標本/六角形の小部屋

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プロフィール
HN:
つぶやき博士
性別:
男性
自己紹介:
何気なく本屋で手に取った本が「博士の愛した式」。以来小川作品の虜になる。小川ファンの9割は女性と思いますが、私はオトコ、しかも70才近くのおじいさんです。
みんなに嫌われる数学はわりと好きな理工系ですが、小説であれ、数学であれ、美しいモノには惹かれる今日この頃です。
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