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小川洋子さんの新刊本


■ 最果てアーケード    講談社    (2012年6月)
■ みんなの図書室    PHP研究所 (2011年12月)
■ 小川洋子の「言葉の標本」   文芸春秋  (20011年9月)
■ 人質の朗読会    中央公論新社 (2011年2月)
■ 妄想気分    集英社 (2011年1月)
■ 小川洋子対話集 文庫版 幻冬舎(2010年8月)

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   凍りついた香り

著者       : 小川洋子
出版社    : 幻冬舎 
サイズ     : 文庫
ページ数  : 318p
発行年    : 2001年
価格        :600円
   
      
   
   
   
   
 

わたしの感想文】

主人公(と言ってもいつものように名前がついていない)
が自殺で亡くした恋人弘之、彼の死の直前に「記憶の泉」というオリジナル香水を調香するに至った恋人の過去を知りたいと、恋人の少年時代、実家、かつてのガールフレンドのことなどが、次第に明らかにされる。かといって謎解き小説ではなく、淡々と透明感あふれるタッチで物語は静かに進んでいく。

恋人弘之は実は数学の天才少年として数々のコンテストで優勝していて、コンテストの模様が実に細かく描かれ、主人公の知らないエピソードが彼の調香師へ至る神秘性を醸し出している。

もう一つ、小川洋子独特の現在と過去、場面の移動、記憶と現実が渾然一体となって、その境目を区別できないくらいするりと行ったり来たりする。読者にとっては良くも悪くもこれは小川作品である。

ところで、「香水の匂い」というものをどう表現して良いものか、男性ばかりか、女性でさえ難しいのではないでしょうか?「金木犀のような臭い」など・・・・・・・・・。
この小説では、「この世の中には40万種類の匂いがあるんだから、調香師は、形のない香りにイメージと言葉を与えて、記憶の引き出しに順序よくしまって、必要な時、必要な引き出しを開けるのです。」と言っています。恋人弘之は記憶とこの引き出し分類能力に卓越した能力を持っていたことが明かされます。小説のタイトル「凍りついた香り」は暗示的であり、神秘に満ちている。
 【内容情報】(「BOOK」データベースより)

今でも彼の指先が、耳の後ろの小さな窪みに触れた瞬間を覚えている。まずいつもの手つきでびんの蓋を開けた。それから一滴の香水で人差し指を濡らし、もう片方の手で髪をかき上げ、私の身体で一番温かい場所に触れた―。孔雀の羽根、記憶の泉、調香師、数学の問題…いくつかのキーワードから死者をたずねる謎解きが始まる。

 

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プロフィール
HN:
つぶやき博士
性別:
男性
自己紹介:
何気なく本屋で手に取った本が「博士の愛した式」。以来小川作品の虜になる。小川ファンの9割は女性と思いますが、私はオトコ、しかも70才近くのおじいさんです。
みんなに嫌われる数学はわりと好きな理工系ですが、小説であれ、数学であれ、美しいモノには惹かれる今日この頃です。
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