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小川洋子さんの新刊本


■ 最果てアーケード    講談社    (2012年6月)
■ みんなの図書室    PHP研究所 (2011年12月)
■ 小川洋子の「言葉の標本」   文芸春秋  (20011年9月)
■ 人質の朗読会    中央公論新社 (2011年2月)
■ 妄想気分    集英社 (2011年1月)
■ 小川洋子対話集 文庫版 幻冬舎(2010年8月)

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 博士の愛した数式

著者       : 小川洋子
出版社    : 新潮社
サイズ     : 単行本
ページ数  : 253p
発行年    : 2003年
価格        : 1575円
 【わたしの感想文】

偶然みつけたこの本は衝撃的でした。何と数学と阪神タイガースを結びつけた面白さに惹きつけられました。そして完全数28の背番号を背負った江夏豊の登場にしびれました。
最後のクライマックスシーンを下に紹介します。
・・・・・・・・・・。
「ルートは中学校の教員試験に合格したんです。来年の春から、数学の先生です」
私は誇らしく博士に報告する。博士は身を乗り出し、ルートを抱きしめるようとする。持ち上げた腕は弱々しく、震えている。ルートはその腕を取り、博士の肩を抱き寄せる。胸で江夏のカードが揺れる。
背景は暗く、観客もスコアボードも闇に沈み、江夏ただ一人光に浮かび上がっている。今まさに、左手を振り下ろした瞬間だ。右足はしっかりと土をつかみ、ひさしの奥の目はキャッチーミットに吸い込まれていくボールを見つめている。マウンドに土煙の名残がボールの威力を物語っている。生涯で最も速い球を投げていた江夏だ。縦縞のユニフォームの肩越しに背番号が見える。
完全数、28

蛇足ですが、この小説では小川作品には多く出てくる隠れた悪意や残酷さが出てきません。これについて、作者小川洋子は対談集「博士がくれた贈り物」の中で次のように述べています。
「今回は数学者が持っている数学に対する狂気じみた愛みたいなものが主題になるかと思ってっていたんです。けれど自分なりに数学の読み物をちょっとかじって、家政婦さんと同じようにいろいろな発見をしていくなかで、数は永遠だと実感できた。
そういう大きな世界の中で生きている人を書こうとしたときに悪意や残酷さはふきとばされてしまったという感じです。
【内容情報】(「BOOK」データベースより)


「ぼくの記憶は80分しかもたない」博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた―記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。
 

 
 博士の愛した数式


著者       : 小川洋子
出版社    : 新潮社
サイズ     : 文庫
ページ数  : 291p
発行年    : 2005年
価格        : 459円

 
わたしの感想文】


新潮社で発行された単行本の文庫版です。
ですから、内容は全く同じです。
 【内容情報】(「BOOK」データベースより)

世界は驚きと歓びに満ちていると、博士はたった一つの数式で示した―記憶力を失った天才数学者、と私、阪神タイガースファンの10歳の息子。せつなくて、知的な至高のラブ・ストーリー。著者最高傑作。 

 

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プロフィール
HN:
つぶやき博士
性別:
男性
自己紹介:
何気なく本屋で手に取った本が「博士の愛した式」。以来小川作品の虜になる。小川ファンの9割は女性と思いますが、私はオトコ、しかも70才近くのおじいさんです。
みんなに嫌われる数学はわりと好きな理工系ですが、小説であれ、数学であれ、美しいモノには惹かれる今日この頃です。
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