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小川洋子さんの新刊本


■ 最果てアーケード    講談社    (2012年6月)
■ みんなの図書室    PHP研究所 (2011年12月)
■ 小川洋子の「言葉の標本」   文芸春秋  (20011年9月)
■ 人質の朗読会    中央公論新社 (2011年2月)
■ 妄想気分    集英社 (2011年1月)
■ 小川洋子対話集 文庫版 幻冬舎(2010年8月)

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  おとぎ話の忘れ物

著者   : 小川洋子
樋上公実子
出版社  : ホーム社
集英社 
サイズ     : 文庫
ページ数  : 117p
発行年    : 2006年
 
価格        : 1785円

 
わたしの感想文】

変わり者の祖父が世界中から集めた忘れ物のおとぎ話。これらのおとぎ話が読める「忘れ物図書室」、斬新で、現実にはありそうもない卓抜な設定はいかにも小川洋子、面目躍如といったところでしょう。

アンジェリーナ」が佐野元春の詩から、これは樋上公実子の絵からイメージしたと思われる短編です。樋上公実子の挿絵、少女の絵は実に、幻想的で、かつ、なまめかしく、人前で本を開くのが恥ずかしくなりましたので、こっそり、一人で読みました。物語は短編ではなく、おとぎ話が4篇でてきます。「ずきん倶楽部」、「アリスという名前」、「人魚宝石職人の一生」、そして「愛されすぎた白鳥」です。

おとぎ話、または、童話といった作品ですが、小川さんの手にかかると、どの童話も、いとおしく、残酷で、怖い話になっています。例えば、「愛されすぎた白鳥」では、森の番人が湖に住んでいる白鳥の美しい姿を見て、こよなく好きになってしまいます。好きになり過ぎて、自分が白鳥にしてやれることは何かと迷っていたが、やがて、一番大事にしているキャンデーをあげることになった。ところが、愛しすぎ、キャンデーをやりすぎたため、残酷な幕切れとなります。どう残酷かは、ここでは伏せておきます。
美しい、残酷、怖い、グロテスク、悲しいといった言葉を全く使われていないのですが、物語として読んだ時、こんな感情がなぜか”じーん”と沸き起こってくるのが憎いほどです。
【ダ・ヴィンチ 2006年7月号掲載】

女性を中心に根強い人気を集める小川洋子が次に挑んだのが、書き下ろし競作集。忘れられたおとぎ話の中で、オオカミは腹を裂かれ、少女は行き先を見失う。小川が得意とする寓話的かつ残酷で可憐な世界が広がる。樋上公実子による挿絵も作品世界をさらに広げて楽しい。(田)


作家・小川洋子と、画家・樋上公実子が織りなす、極上の世界。忘れられたおとぎ話の中で、オオカミは腹を裂かれ、少女は行き先を見失う。幻想的なイラストと、それをモチーフに紡ぎだされた残酷で可憐の物語。

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プロフィール
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つぶやき博士
性別:
男性
自己紹介:
何気なく本屋で手に取った本が「博士の愛した式」。以来小川作品の虜になる。小川ファンの9割は女性と思いますが、私はオトコ、しかも70才近くのおじいさんです。
みんなに嫌われる数学はわりと好きな理工系ですが、小説であれ、数学であれ、美しいモノには惹かれる今日この頃です。
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