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小川洋子さんの新刊本


■ 最果てアーケード    講談社    (2012年6月)
■ みんなの図書室    PHP研究所 (2011年12月)
■ 小川洋子の「言葉の標本」   文芸春秋  (20011年9月)
■ 人質の朗読会    中央公論新社 (2011年2月)
■ 妄想気分    集英社 (2011年1月)
■ 小川洋子対話集 文庫版 幻冬舎(2010年8月)

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アンネ・フランクの記憶


   



著者: 小川洋子
出版社: 角川書店
サイズ: 文庫
ページ数: 269p
発行年: 1998年
価格: 560円
わたしの感想文】
「アンネ・フランクの日記」を読んだことはなかったのですが、約20年前、単純に観光でアムステルダムのアンネ・フランクの隠れ家を見学したことがあります。その時は戦争の悲惨さと悲しみをを瞬間感じたのですが、小川洋子「アンネ・フランクの記憶」を読んで全く違う印象を持ちました。

第一にアンネ・フランクは小川洋子さんにとっては特別に思い入れを抱いた少女で、物書きとしての原点であって、アンネ・フランクの日記を読んで自分も日記を書き始めたと語っています。その特別な思い入れの深さがこの本の質の高さになっている感じです。
アンネ・フランクはその日記を読んでいなくても、誰でも知っている戦争被害者の少女です。しかし、この本では、歴史的、政治的、人種差別など社会的側面とは別に、才能豊かではあるが、聖人でもなく、明るく、愛くるしい一人の少女の若すぎる死を追悼する立場が貫かれています。
アンネ・フランクの軌跡を追う形で、オランダのアムステルダム、ドイツのフランクフルト、ポーランドのアウシュビッツ跡、オーストリアのウィーンとアンネゆかりの地を訪れ、縁のあった人々と語り合います。

中でも、わたしが一番印象に残っているのは、アンネを影で支えた
ミープ・ヒースさんとの出会いでした。 ミープ・ヒースさんはそれこそ命がけで隠れ家のアンネ・フランク一家のこまごまとした日常生活を支え、最後に床にちらばっていたアンネの日記を拾い集めた人でした。小川さんが、「なぜ、とっさに日記を救い出そうとしたのですか?」の質問に「何の計算もなく、ただ、自動的に行ったアクションでした。アンネが帰ってきた時、また、この書くという喜びを戻してあげたい。そう思っただけです。」との答えは感動です。お別れの時、小川さんはミープさんに何かサインをとお願いしました。そのサインには英語でこう書されていたそうです。
「・・・ we were not heroes,we only did our human duty helping
 people who need help.」
 
【内容情報】(「BOOK」データベースより)

十代のはじめ『アンネの日記』によって言葉が自分を表現することに心ゆさぶられ、作家への道を志した小川洋子が、長年の感慨をこめてアンネの足跡をたどる旅に出た。命がけで物資を運びフランク家の隠れ家生活を気丈に支えたミープさんや無二の親友ジャクリーヌさんら老齢の今も美しく、真の魅力を放つ女性たちと語り、生家→隠れ家→アウシュヴィッツへとたずねていく―。アンネの心の内側にふれ、極限におかれた人間の、葛藤、尊厳、信頼、愛の形を浮き彫りにした感動のノンフィクション。

【目次】(「BOOK」データベースより)

出発/アンネ・フランク・ハウス/ミープ・ヒース/フランクフルトへ/ポーランド/アウシュヴィッツ/ウィーン/二人のユダヤ人



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プロフィール
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つぶやき博士
性別:
男性
自己紹介:
何気なく本屋で手に取った本が「博士の愛した式」。以来小川作品の虜になる。小川ファンの9割は女性と思いますが、私はオトコ、しかも70才近くのおじいさんです。
みんなに嫌われる数学はわりと好きな理工系ですが、小説であれ、数学であれ、美しいモノには惹かれる今日この頃です。
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