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小川洋子さんの新刊本
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アンネ・フランクの記憶
価格: 560円
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【わたしの感想文】 「アンネ・フランクの日記」を読んだことはなかったのですが、約20年前、単純に観光でアムステルダムのアンネ・フランクの隠れ家を見学したことがあります。その時は戦争の悲惨さと悲しみをを瞬間感じたのですが、小川洋子「アンネ・フランクの記憶」を読んで全く違う印象を持ちました。 第一にアンネ・フランクは小川洋子さんにとっては特別に思い入れを抱いた少女で、物書きとしての原点であって、アンネ・フランクの日記を読んで自分も日記を書き始めたと語っています。その特別な思い入れの深さがこの本の質の高さになっている感じです。 アンネ・フランクはその日記を読んでいなくても、誰でも知っている戦争被害者の少女です。しかし、この本では、歴史的、政治的、人種差別など社会的側面とは別に、才能豊かではあるが、聖人でもなく、明るく、愛くるしい一人の少女の若すぎる死を追悼する立場が貫かれています。 アンネ・フランクの軌跡を追う形で、オランダのアムステルダム、ドイツのフランクフルト、ポーランドのアウシュビッツ跡、オーストリアのウィーンとアンネゆかりの地を訪れ、縁のあった人々と語り合います。 中でも、わたしが一番印象に残っているのは、アンネを影で支えた ミープ・ヒースさんとの出会いでした。 ミープ・ヒースさんはそれこそ命がけで隠れ家のアンネ・フランク一家のこまごまとした日常生活を支え、最後に床にちらばっていたアンネの日記を拾い集めた人でした。小川さんが、「なぜ、とっさに日記を救い出そうとしたのですか?」の質問に「何の計算もなく、ただ、自動的に行ったアクションでした。アンネが帰ってきた時、また、この書くという喜びを戻してあげたい。そう思っただけです。」との答えは感動です。お別れの時、小川さんはミープさんに何かサインをとお願いしました。そのサインには英語でこう書されていたそうです。 「・・・ we were not heroes,we only did our human duty helping people who need help.」 |
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プロフィール
HN:
つぶやき博士
性別:
男性
自己紹介:
何気なく本屋で手に取った本が「博士の愛した式」。以来小川作品の虜になる。小川ファンの9割は女性と思いますが、私はオトコ、しかも70才近くのおじいさんです。
みんなに嫌われる数学はわりと好きな理工系ですが、小説であれ、数学であれ、美しいモノには惹かれる今日この頃です。
みんなに嫌われる数学はわりと好きな理工系ですが、小説であれ、数学であれ、美しいモノには惹かれる今日この頃です。
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