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小川洋子さんの新刊本


■ 最果てアーケード    講談社    (2012年6月)
■ みんなの図書室    PHP研究所 (2011年12月)
■ 小川洋子の「言葉の標本」   文芸春秋  (20011年9月)
■ 人質の朗読会    中央公論新社 (2011年2月)
■ 妄想気分    集英社 (2011年1月)
■ 小川洋子対話集 文庫版 幻冬舎(2010年8月)

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   はじめての文学 小川洋子

この本に「冷めない紅茶」が収められています

著者: 小川洋子
出版社: 文芸春秋社
サイズ: 全集双書
ページ数: 252p
発行年: 2007年
価格: 1300円
わたしの感想文】
この小説はは文庫本にもありますが、私は「初めての小説ー小川洋子ー」に収められている本から読みました。他には下の4つの小説が入っていますが、これらについては、それぞれの感想と紹介を書いていますので、よろしければ読んでみて下さい。

さて、この「冷めない紅茶」、主人公の中学時代の同級生が亡くなり”死”をみつめることから始まるが、全体は主人公の私、同棲しているサトウ、中学時代の同級生K君、その恋人の4人の互いの関係が対比的に冷めた視線で静かに語られる。例によって、劇的な事件は何一つ起きず、ボット読んでいると退屈で意味が全くわからない小説のように写るかもしれない。
しかし、言葉に出すのも難しい心の奥底に潜む感情が極めて冷めた目でさりげなく語られるのが小川洋子中毒の人には嬉しい。
同棲相手のサトウは非常に世俗的な男として、描かれ、日常のさりげない言動に、いちいち嫌悪感を抱くが、それをはっきり口に出すことはしないでいる。そんなに嫌いなら別れたら!と他人は思いますが、なんとかしようとは表面上は、少なくとも思っていない。
一方、同級生K君とその恋人には、全く波長が合っていて、二人に会っていれば、主人公にとっては豊饒の時間となってしまう。
印象的な一節は、K君の彼女とはじめて会った時、”ベルを押して最初に出てきたのが、K君でなく女の人だったことに、わたしは何故か動揺しなかった。初対面のあいさつと招待のお礼をきちんとつかえずに喋っているのが不思議だった・・・”である。同棲相手にはあれほどの嫌悪感を抱きながら、こんな感情が湧き出る。K君の恋人と聞くだけで、嫉妬心、猜疑心、嫌悪感を抱くのが普通の感情なのに、この二人に限っては男女の愛とか、そんな感情を超えた世界が広がっているように見えます。
一人の人間がこの両面を持っているを気づかせてくれます。

次の一節も小川流。「タムの葉」という不思議な植物の話。
”尖ったとげがライオンの足に刺さると、歩くたびにとげが肉に食い込んで痛さが増してくるの。それでライオンはその果実を口ではずそうとするんだけど、今度はとげが唇に刺さってしまい、物を食べるたびに、さらに深く食い込んでくるの。だんだん傷が痛んできて、それで、遂に何も食べらなくなって死に至る、という訳。”
 【内容情報】(「BOOK」データベースより)

静けさをたたえた世界の美しさ。文学の入り口に立つ若い読者に向けた自選アンソロジー。

【目次】(「BOOK」データベースより)

冷めない紅茶/薬指の標本/ギブスを売る人/キリコさんの失敗/バックストローク

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プロフィール
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つぶやき博士
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男性
自己紹介:
何気なく本屋で手に取った本が「博士の愛した式」。以来小川作品の虜になる。小川ファンの9割は女性と思いますが、私はオトコ、しかも70才近くのおじいさんです。
みんなに嫌われる数学はわりと好きな理工系ですが、小説であれ、数学であれ、美しいモノには惹かれる今日この頃です。
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