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小川洋子さんの新刊本


■ 最果てアーケード    講談社    (2012年6月)
■ みんなの図書室    PHP研究所 (2011年12月)
■ 小川洋子の「言葉の標本」   文芸春秋  (20011年9月)
■ 人質の朗読会    中央公論新社 (2011年2月)
■ 妄想気分    集英社 (2011年1月)
■ 小川洋子対話集 文庫版 幻冬舎(2010年8月)

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著者  : 小川洋子
出版社  : 幻冬舎 
サイズ  : 文庫
ページ数  : 249p
発行年  : 1998年
価格     : 520円

   
 【わたしの感想文】

 小川洋子作品のタイトルは、私はいつも気になるのですが、今回のホテル・アイリス、アイリスとは、日本語では花の「菖蒲、あやめ、カキツバタ」。菖蒲からは連想できない官能の香りがする作品、しかし、主人公の17才の少女は菖蒲のように美しく、清らかに映ることも事実。
しかし、”アイリス”のタイトルは実は小川さんがウィーンで出合った美しい女性ガイドさんの名前から取ったそうです。

ギリシャ神話では、女神ジュノーがとても可愛がっていた侍女アイリスに七色に輝くネックレスを贈り、大空を渡る栄誉を与え、アイリスは天上と地上を結ぷ虹の橋を渡り、使者をつとめたという伝説があります。これから私が勝手に想像するに、現実と幻想の美しき使者を連想します。

話のストーリは比較的わかりやすく、17才の少女と初老(老人と言っても良いくらい)の常識的には、異常な愛の物語。ホテル・アイリスに住み込みで働いている少女はいろいろな口実を作って、母親の目を盗んで初老の男に会いに行く。そして、二人だけの異常な愛が官能的な雰囲気を漂わせながら、物語が静かに進行していく。言葉、言葉に、くどい位のきめ細かい描写で想像をふらませてくれる。

少女がなぜ、このような愛に深くのめりこんでいくのか?
そのわけを知りたいと思ってもらうのが、作者小川洋子さんの本意ではないと思います。
ただただ、現実の世界や常識からちょっと解放されて、このような世界に浸っていればよいのよ!というような感じ。
確かに官能小説でしょうが、うす汚なさとか、不潔感、いやらしさが全く沸いてこなくて不思議。作家小川洋子の確かな筆致力のなせるワザでしょう。
 
【内容情報】(「BOOK」データベースより)

染みだらけの彼の背中を、私はなめる。腹の皺の間に、汗で湿った脇に、足の裏に、舌を這わせる。私の仕える肉体は醜ければ醜いほどいい。乱暴に操られるただの肉の塊となった時、ようやくその奥から純粋な快感がしみ出してくる…。少女と老人が共有したのは滑稽で淫靡な暗闇の密室そのものだった―芥川賞作家が描く究極のエロティシズム。

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プロフィール
HN:
つぶやき博士
性別:
男性
自己紹介:
何気なく本屋で手に取った本が「博士の愛した式」。以来小川作品の虜になる。小川ファンの9割は女性と思いますが、私はオトコ、しかも70才近くのおじいさんです。
みんなに嫌われる数学はわりと好きな理工系ですが、小説であれ、数学であれ、美しいモノには惹かれる今日この頃です。
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