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小川洋子さんの新刊本


■ 最果てアーケード    講談社    (2012年6月)
■ みんなの図書室    PHP研究所 (2011年12月)
■ 小川洋子の「言葉の標本」   文芸春秋  (20011年9月)
■ 人質の朗読会    中央公論新社 (2011年2月)
■ 妄想気分    集英社 (2011年1月)
■ 小川洋子対話集 文庫版 幻冬舎(2010年8月)

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 犬のしっぽを撫でながら

著者: 小川洋子
出版社: 集英社 
サイズ: 単行本
ページ数: 221p
発行年: 2006年
価格: 1470円
わたしの感想文】
妖精が舞い下りる夜」、「深き心の底より」に続く小川洋子エッセイ集の最新作です。5章に分かれています。
 〇 数の不思議に魅せられて
 〇 「書くということ」
 〇 アンネ・フランクへの旅
 〇 犬や野球に振り回されて
 〇 家族と思い出

「数の不思議に魅せられて」の章では、数学の魅力と「博士の愛した数式」誕生の秘話などが紹介されていてそれ自体は面白くて興味深いのですが、他の小川作品、例えば「世にも美しき数学入門」と重複している内容も結構あります。

「書くということ」の章では、小川作品を深く知る上でとても参考になります。初期のエッセイ第1作「妖精が舞い下りる夜」でもよく理解できますが、作家デビュー以来の小説スタイル、例えば、「現実の細かい描写を通して、目には見えない世界を描いて読者を現実の束縛から自由に解放したい」というスタイルはずっと一貫していることが伺えます。

一番新鮮だったのは「アンネ・フランクへの旅」の章でした。何とこの章では紙のベースが白でなく、グリーンとなっています。グリーンだと目が疲れて読みにくかったのですが、アンネ・フランクへの特別な思い入れが良く伝わってきます。作家としての原点がこの「アンネ・フランクの日記」にあったようで、その日記はは世界中の人が知っています。しかし、小川さんがなぜ深い思い入れを抱くのか?その理由は、日記に書かれた彼女の姿があまりにリアルで生き生きして、彼女の息遣い、体温までも伝わってきて、自由への渇望、死の恐怖、大人への反発などの描写で、言葉の力強さに圧倒されたと言っています。

「犬や野球に振り回されて」と「家族と思い出」の章では、何気ない小川さんの日常生活、阪神タイガース、犬、家族、学生時代の思い出などが語られています。重い小川作品を読んだ後は、まあ、こういう軽い、息抜きの話を読むのも悪くないでしょう。
小川洋子さんは主婦でもあることがこの章でも改めて分かるのですが、あの不思議な小説が同じ人によって創り出されているのかと思うと、私にとってやはり謎です。
 【内容情報】(「BOOK」データベースより)

「博士の愛した数式」を巡る小川洋子の最新エッセイ集。

【目次】(「BOOK」データベースより)

『博士の愛した数式』を巡って/数学者と美しさについて/数の不思議を小説に/数学者の「正しい間違い」/天才数学者の悲しい恋/一本の線が照らす世界/数の整列の「おとぎ話」/才能救った少女の一言/有限の世界で味わう無限/孤高の美しさ貫く「素数」

 

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プロフィール
HN:
つぶやき博士
性別:
男性
自己紹介:
何気なく本屋で手に取った本が「博士の愛した式」。以来小川作品の虜になる。小川ファンの9割は女性と思いますが、私はオトコ、しかも70才近くのおじいさんです。
みんなに嫌われる数学はわりと好きな理工系ですが、小説であれ、数学であれ、美しいモノには惹かれる今日この頃です。
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