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小川洋子さんの新刊本


■ 最果てアーケード    講談社    (2012年6月)
■ みんなの図書室    PHP研究所 (2011年12月)
■ 小川洋子の「言葉の標本」   文芸春秋  (20011年9月)
■ 人質の朗読会    中央公論新社 (2011年2月)
■ 妄想気分    集英社 (2011年1月)
■ 小川洋子対話集 文庫版 幻冬舎(2010年8月)

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深き心の底より
 
 

著者: 小川洋子
出版社: PHP研究所
サイズ: 文庫
ページ数: 241p
発行年: 2006年
価格: 600円
わたしの感想文】
妖精が舞い下りる夜」に続く初期の小川さん2番目のエッセイ集.。エッセイの盛り込まれているのは、日常身辺で起こった出来事、小さい頃の思い出、家族、愛犬の話、そして思い入れが深い「アン・ネフランク」のこと、育った金光教のことなどが、時にはユーモア、時には「深き心の底」と思われる深い洞察感を持って語られています。

身辺の出来事については、微笑ましく、思わず笑ってしまいます。初めての海外旅行、それも新婚旅行で、盲腸にかかってしまう話。愛犬ラブに振り回される日々。岡山駅では必ず買う”祭り寿司”。小さい頃からの車酔いに苦しむ話などなど。わたし達が誰でも経験する日常の小さな事件(しかし、本人にとっては大事件)や悩みなどが語られると、小川洋子さんも我々凡人とさして変わらない日常だなあ!と妙に納得したりします。

アンネ・フランクについては、他の本でも紹介されていて、重複もあります。しかし、次の文章が印象に残ります。
「1944年4月5日のアンネの日記”私の望みは死んでからもなお生きつづけること!” 生と死の意味は正反対なのだけれど、決して対立し合うものではない。死ぬことは消え去ることではなく、宇宙の原子に還って永遠に存在し続けることだ。生と死の間に強固な境界線などないのだ。・・・・・・・・・たった15年の短い生だったにもかかわらず、彼女の願いは間違いなく達成されたと思う。

金光教、小川洋子さんの生まれ育ったのがこの教会、このエッセイを読むと、金光教が知らず知らずのうちに小川洋子さんのDNAに深く宿っているように思われました。
「金光教では、神と人間の間に明確な境界線を引かないこと。同じく人間と枯葉の区別もあいまいにしてしまうことは、一見だらしないようでいて、秘めたエネルギーを持っていると思う。・・・・・・それは底知れぬ許容量だ。」
 【内容情報】(「BOOK」データベースより)

『博士の愛した数式』の著者、小川洋子の作家デビューから10年の間に綴られた初期エッセイ集。金光教の教会の離れで暮らした子供時代、学生時代の思い出、アンネ・フランクへの思い、子育て、そして家族、取材や旅行で訪ねた町の思い出…。何気ない日常生活を描く静謐な文章のなかに、作家が生み出す不思議な世界観を垣間見ることができる。言葉の石を一個一個積み上げたような珠玉の54編。

【目次】(「BOOK」データベースより)

第1章 心の核を育てる/第2章 言葉の力に導かれて/第3章 死は生の隣りにある/第4章 家族という不思議/第5章 旅の記憶は感性の預金/第6章 神の存在を感じるとき 

 

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プロフィール
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つぶやき博士
性別:
男性
自己紹介:
何気なく本屋で手に取った本が「博士の愛した式」。以来小川作品の虜になる。小川ファンの9割は女性と思いますが、私はオトコ、しかも70才近くのおじいさんです。
みんなに嫌われる数学はわりと好きな理工系ですが、小説であれ、数学であれ、美しいモノには惹かれる今日この頃です。
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