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小川洋子さんの新刊本


■ 最果てアーケード    講談社    (2012年6月)
■ みんなの図書室    PHP研究所 (2011年12月)
■ 小川洋子の「言葉の標本」   文芸春秋  (20011年9月)
■ 人質の朗読会    中央公論新社 (2011年2月)
■ 妄想気分    集英社 (2011年1月)
■ 小川洋子対話集 文庫版 幻冬舎(2010年8月)

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  貴婦人Aの蘇生

著者: 小川洋子
出版社: 朝日新聞出版 
サイズ: 文庫
ページ数: 243p
発行年: 2005年
価格: 525円
わたしの感想文】

義理の伯母にあたる「ユーリー」という名のロシア生まれの貴婦人が物語の主人公である。このユーリー伯母さんは不思議な人で、ロシア最後の皇帝ニコライ2世の4女アナスタシアではないかと思った剥製マニアがTV出演とかいろいろと演出を企てるが、ユーリー伯母さんが亡くなったので、結局謎のままとなってしまう。

アナスタシアとはロシア語で「蘇生」という意味らしく、これが本のタイトルと結びついている。ユーリー伯母さんの趣味は刺繍で、暇さえあればいつも刺繍をやっていて、あちこちにイニシアル「A]と刺繍している。ユーリー伯母さんのご主人の道楽であった貴重な動物の剥製にも「A」の刺繍を施す始末。

このユーリー伯母さんと同居することとなった大学生の私が不思議な家(館と言うべきか?)を舞台にした物語が進んでいく。この小川作品でも現実と幻想が行ったり来たりしている。例えば、貴婦人、動物の剥製もう、この世にいないのに、現実の伯母さん、まるで生きているかのような剥製の描写が重なってくる。

小川作品の中では、この作品は個人的にはあまり、好きではない。読み終えるのに苦労したのを記憶している。それは登場人物も場面描写も複雑すぎて、やや技巧に走り過ぎているような印象を持ったもので、小川流の淡々とした流れに乗っていけなかったためです。
しかし、小川洋子さんはこの作品でも決して読者に媚を売っていないところはその志、良しとしましょう。
 【内容情報】(「BOOK」データベースより)

北極グマの剥製に顔をつっこんで絶命した伯父。死んだ動物たちに刺繍をほどこす伯母。この謎の貴婦人はロマノフ王朝の最後の生き残りなのか?『博士の愛した数式』で新たな境地に到達した芥川賞作家が、失われた世界を硬質な文体で描く、とびきりクールな傑作長編小説。

 

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プロフィール
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つぶやき博士
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男性
自己紹介:
何気なく本屋で手に取った本が「博士の愛した式」。以来小川作品の虜になる。小川ファンの9割は女性と思いますが、私はオトコ、しかも70才近くのおじいさんです。
みんなに嫌われる数学はわりと好きな理工系ですが、小説であれ、数学であれ、美しいモノには惹かれる今日この頃です。
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