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小川洋子さんの新刊本


■ 最果てアーケード    講談社    (2012年6月)
■ みんなの図書室    PHP研究所 (2011年12月)
■ 小川洋子の「言葉の標本」   文芸春秋  (20011年9月)
■ 人質の朗読会    中央公論新社 (2011年2月)
■ 妄想気分    集英社 (2011年1月)
■ 小川洋子対話集 文庫版 幻冬舎(2010年8月)

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小川洋子さんの小説で一番好きなのはどれですか?バイアグラ
妊娠カレンダー
薬指の標本
ホテル・アイリス
博士の愛した数式
ブラフマンの埋葬
ミーナの行進
偶然の祝福
密やかな結晶
猫を抱いて象と泳ぐ

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■ 小説を読んだ時、ただ、それを愉しめば良いのですが、やはり、他の人はどんな感想
   を持ったかは気になるところです。人それぞれの読み方があるものだと感心したり、
   同感だったりして結構、私も書評を読んだりします。
■ 小川洋子作品の書評を書いた人,新聞書評を含めれば、相当の人がいますが、ここ
   では買えば書評が読める文庫本をリストアップしました。この中で、気に入っていて
   なるほどと分かりやすかったのは「偶然の祝福」:川上弘美、「
アンジェリーナ」:江國
   香織 です。

小 川 洋 子 作 品 の 書 評 を 書 い た 人
 タ イ ト ル  書 評  職 業 出 版 社 
妊娠カレンダー 松村 栄子 作家 文春文庫
シュガータイム 林 真理子 作家 中公文庫  
アンジェリーナ 江國 香織  作家 角川文庫  
密やかな結晶 井坂 洋子 詩人 講談社文庫 
薬指の標本 布施 英利 評論家 新潮文庫
刺繍する少女 飯島 耕一 詩人  角川文庫
アンネ・フランクの記憶 深町 眞理子 翻訳家 角川文庫
偶然の祝福 川上 弘美 作家 角川文庫
まぶた 堀江 敏幸 作家  新潮文庫
貴婦人Aの蘇生 藤森 照信 建築史家 朝日文庫
博士の愛した数式 藤原 正彦 数学者 新潮文庫
ブラフマンの埋葬 奥泉 光 作家 講談社文庫
千野 帽子 著述業 新潮文庫

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   はじめての文学 小川洋子

この本に「冷めない紅茶」が収められています

著者: 小川洋子
出版社: 文芸春秋社
サイズ: 全集双書
ページ数: 252p
発行年: 2007年
価格: 1300円
わたしの感想文】
この小説はは文庫本にもありますが、私は「初めての小説ー小川洋子ー」に収められている本から読みました。他には下の4つの小説が入っていますが、これらについては、それぞれの感想と紹介を書いていますので、よろしければ読んでみて下さい。

さて、この「冷めない紅茶」、主人公の中学時代の同級生が亡くなり”死”をみつめることから始まるが、全体は主人公の私、同棲しているサトウ、中学時代の同級生K君、その恋人の4人の互いの関係が対比的に冷めた視線で静かに語られる。例によって、劇的な事件は何一つ起きず、ボット読んでいると退屈で意味が全くわからない小説のように写るかもしれない。
しかし、言葉に出すのも難しい心の奥底に潜む感情が極めて冷めた目でさりげなく語られるのが小川洋子中毒の人には嬉しい。
同棲相手のサトウは非常に世俗的な男として、描かれ、日常のさりげない言動に、いちいち嫌悪感を抱くが、それをはっきり口に出すことはしないでいる。そんなに嫌いなら別れたら!と他人は思いますが、なんとかしようとは表面上は、少なくとも思っていない。
一方、同級生K君とその恋人には、全く波長が合っていて、二人に会っていれば、主人公にとっては豊饒の時間となってしまう。
印象的な一節は、K君の彼女とはじめて会った時、”ベルを押して最初に出てきたのが、K君でなく女の人だったことに、わたしは何故か動揺しなかった。初対面のあいさつと招待のお礼をきちんとつかえずに喋っているのが不思議だった・・・”である。同棲相手にはあれほどの嫌悪感を抱きながら、こんな感情が湧き出る。K君の恋人と聞くだけで、嫉妬心、猜疑心、嫌悪感を抱くのが普通の感情なのに、この二人に限っては男女の愛とか、そんな感情を超えた世界が広がっているように見えます。
一人の人間がこの両面を持っているを気づかせてくれます。

次の一節も小川流。「タムの葉」という不思議な植物の話。
”尖ったとげがライオンの足に刺さると、歩くたびにとげが肉に食い込んで痛さが増してくるの。それでライオンはその果実を口ではずそうとするんだけど、今度はとげが唇に刺さってしまい、物を食べるたびに、さらに深く食い込んでくるの。だんだん傷が痛んできて、それで、遂に何も食べらなくなって死に至る、という訳。”
 【内容情報】(「BOOK」データベースより)

静けさをたたえた世界の美しさ。文学の入り口に立つ若い読者に向けた自選アンソロジー。

【目次】(「BOOK」データベースより)

冷めない紅茶/薬指の標本/ギブスを売る人/キリコさんの失敗/バックストローク

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アンネ・フランクの記憶


   



著者: 小川洋子
出版社: 角川書店
サイズ: 文庫
ページ数: 269p
発行年: 1998年
価格: 560円
わたしの感想文】
「アンネ・フランクの日記」を読んだことはなかったのですが、約20年前、単純に観光でアムステルダムのアンネ・フランクの隠れ家を見学したことがあります。その時は戦争の悲惨さと悲しみをを瞬間感じたのですが、小川洋子「アンネ・フランクの記憶」を読んで全く違う印象を持ちました。

第一にアンネ・フランクは小川洋子さんにとっては特別に思い入れを抱いた少女で、物書きとしての原点であって、アンネ・フランクの日記を読んで自分も日記を書き始めたと語っています。その特別な思い入れの深さがこの本の質の高さになっている感じです。
アンネ・フランクはその日記を読んでいなくても、誰でも知っている戦争被害者の少女です。しかし、この本では、歴史的、政治的、人種差別など社会的側面とは別に、才能豊かではあるが、聖人でもなく、明るく、愛くるしい一人の少女の若すぎる死を追悼する立場が貫かれています。
アンネ・フランクの軌跡を追う形で、オランダのアムステルダム、ドイツのフランクフルト、ポーランドのアウシュビッツ跡、オーストリアのウィーンとアンネゆかりの地を訪れ、縁のあった人々と語り合います。

中でも、わたしが一番印象に残っているのは、アンネを影で支えた
ミープ・ヒースさんとの出会いでした。 ミープ・ヒースさんはそれこそ命がけで隠れ家のアンネ・フランク一家のこまごまとした日常生活を支え、最後に床にちらばっていたアンネの日記を拾い集めた人でした。小川さんが、「なぜ、とっさに日記を救い出そうとしたのですか?」の質問に「何の計算もなく、ただ、自動的に行ったアクションでした。アンネが帰ってきた時、また、この書くという喜びを戻してあげたい。そう思っただけです。」との答えは感動です。お別れの時、小川さんはミープさんに何かサインをとお願いしました。そのサインには英語でこう書されていたそうです。
「・・・ we were not heroes,we only did our human duty helping
 people who need help.」
 
【内容情報】(「BOOK」データベースより)

十代のはじめ『アンネの日記』によって言葉が自分を表現することに心ゆさぶられ、作家への道を志した小川洋子が、長年の感慨をこめてアンネの足跡をたどる旅に出た。命がけで物資を運びフランク家の隠れ家生活を気丈に支えたミープさんや無二の親友ジャクリーヌさんら老齢の今も美しく、真の魅力を放つ女性たちと語り、生家→隠れ家→アウシュヴィッツへとたずねていく―。アンネの心の内側にふれ、極限におかれた人間の、葛藤、尊厳、信頼、愛の形を浮き彫りにした感動のノンフィクション。

【目次】(「BOOK」データベースより)

出発/アンネ・フランク・ハウス/ミープ・ヒース/フランクフルトへ/ポーランド/アウシュヴィッツ/ウィーン/二人のユダヤ人



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小 川 洋 子 の 世 界    サ イ ト マ ッ プ
■ 小川洋子の世界
    〇 小川洋子さんの略歴・素顔
    〇 小川洋子さんの作品リスト
    〇 小川洋子さんの受賞暦
    〇 小川洋子さんの小説スタイル
    〇 小川作品の書評を書いた人
    〇 小川洋子さんと本屋大賞
    〇 私の読んだ小川洋子さんの本
        〇 博士の愛した数式
          ・ 映画「博士の愛した数式」
          ・ 小川洋子「博士の愛した数式」の撮影現場に行く
          ・ 映画「博士の愛した数式」試写会の模様
          ・ 映画「博士の愛した数式」をyou tubeで観る
          ・ 完全数とは
       〇 世にも美しい数学入門
       〇 博士がくれた贈り物
       〇 ミーナの行進
       〇 薬指の標本
          ・ 映画「薬指の標本」
       〇 
       〇 凍りついた香り
       〇 貴婦人Aの蘇生
       〇 偶然の祝福
       〇 物語の役割
       〇 シュガータイム
       〇 アンジェリーナ
       〇 妖精が舞い下る夜
       〇 犬のしっぽを撫でながら
       〇 ホテル・アイリス
       〇 ブラフマンの埋葬
       〇 犬のしっぽを撫でながら
       〇 沈黙博物館
       〇 妊娠カレンダー
       〇 生きるとは自分の物語をつくること
       〇 完璧な病室
       〇 寡黙な死骸 みだらな弔い
       〇 やさしい訴え
       〇 まぶた
       〇 刺繍する少女
       〇 深き心の底より
       〇 小川洋子対話集
       〇 心と響き合う読書案内
       〇 密やかな結晶
       〇 おとぎ話の忘れ物
       〇 冷めない紅茶
       〇 アンネ・フランクの記憶
       〇 夜明けの縁をさ迷う人々
       〇 猫を抱いて象と泳ぐ
       〇 カラーひよことコーヒー豆
       〇 妄想気分
    〇 小川洋子さん児玉清さんと語る
    〇 福田和也の小川洋子評

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自己紹介:
何気なく本屋で手に取った本が「博士の愛した式」。以来小川作品の虜になる。小川ファンの9割は女性と思いますが、私はオトコ、しかも70才近くのおじいさんです。
みんなに嫌われる数学はわりと好きな理工系ですが、小説であれ、数学であれ、美しいモノには惹かれる今日この頃です。
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